うくひすのこほれる涙

読書おぼえがき

桐壺

源氏物語」に出てくる歌に興味を持った。

 

そういう本も、今、出版されてはいるけれども、全部網羅しているわけではなく、一部を紹介してあるに過ぎない。

 

ということは、自分で拾ってみるしかないので、拾ってみた。

 

桐壺の巻だけだが、以下がそれである。

 

 

 

・・・・・・・

かぎりとて別るる道の悲しきにいかまほしきは命なりけり

 

みやぎのの露ふきすさぶ風の音に小萩がもとを思ひこそやれ

 

鈴むしの声の限りを尽しても長きよあかずふる涙かな

 

いとどしく虫のねしげきあさぢふに露おきそふる雲のうへ人

 

荒き風ふせぎしかげの枯れしよりこはぎがうへぞしづごころなき

 

尋ねゆくまぼろしもがなつてにてもたまのありかをそこと知るべき

 

雲の上も涙にくるる秋の月いかですむらむあさぢふのやど

 

いときなきはつもとゆひに長きよを契る心は結びこめつや

 

結びつる心も深きもとゆひに濃きむらさきの色しあせずは

・・・・・・・

 

 

 

 

桐壺の巻だけで九つも出てくる。

 

全巻網羅するには、どれくらいかかるのだろう?

 

気が遠くなりそうだが、ぼちぼち拾って行こうと思う。

 

 

それにしても、日本文学を代表する作品である「源氏物語」を全巻読んだことのある日本人って、現在どれくらい存在するのだろう?

 

私はといえば、いまはむかしの大昔、センター試験の古文の受験勉強で、旺文社の参考書で抜粋したものを読んだくらいだった。

 

なぜか今年、『死ぬまでに、全巻読破しよう!』などと考えてしまった。

 

それで、原文と現代語訳が載っている本を入手したのだが、古文というのは、現代日本人にとっては、ほぼ外国語のようなもので・・・

 

しかも、歌が中心のものとは違い、「読む分量」が当然ながら多い。

 

当たり前だが。

 

受験勉強していた現役時代ならともかく、かなりブランクがあいた今じゃあ、読むのにかなり時間がかかる。

 

それでも、現代に近い作品より、かえって新鮮な印象を受ける。

 

桐壺の巻で、これほど光源氏の母について物語られているのには驚いた。

 

そして、物悲しい巻なのだ。

 

源氏物語」は大和和紀さんの「あさきゆめみし」など、マンガにもなったりしていて、私はそちらのほうに馴染みがあったのだが、『やっぱりマンガのほうは、かなりさっぴいてあるんだなあ。』などと当然のことを、今、この年になって気づくっていう・・・。