うくひすのこほれる涙

読書おぼえがき

末摘花の装い

だいぶん寒くなってきた今日この頃、いよいよ白鳥の声が聞かれるようになった。 薄手の上着は衣装ケースの中にしまいこみ、ニットや厚手のものをタンスの取り出しやすい所に収納すれば・・・ 『紅葉はまだでも、いよいよ秋本番』な感じがしてくるものだ。 さて、「紅葉」といえば、源氏の末摘花のお鼻を思い出す。 末摘花の特徴と言えば、「普賢菩薩の乗り物と覚ゆ」ようなそのお鼻、ばかりではない。 装いも相当個性的なのであった。 「ゆるし色の理なう上白みたる一襲、名残なう黒き袿重ねて、上着には黒貂の皮衣、いと清らにかうばしきを着給へり。」 この一文を読んで、こう思ったのであった。 『黒貂の皮衣???』 現代語訳を見ると、「セーブルコート」とある。 「セーブルコート」なるものが、いかなるものか、私は知らんが・・・ 「貂」というのを漢字典でひいてみると、テンの如き獣だそうで・・・ と、いうことは・・・ 末摘花は・・・ 「プラダを着た悪魔」ならぬ、「毛皮を着た普賢菩薩の乗り物」。 平安時代から、和装で女性用の毛皮のコートがあったとはっ! シーラ E も、毛皮のマリーもびっくりざ〜んすっ。